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Netflix「イカゲーム シーズン1」命を懸けたデスゲームが描く資本主義の残酷さ

こんにちはAyumiです!

Netflixで2021年に配信がスタートした韓国ドラマ「イカゲーム」。2024年12月26日(木)にシーズン2が日本で公開されましたね!

それに伴って、Netflix「イカゲーム シーズン1」について解説したいと思います。

様々な伏線がある本作ですが、本記事ではそこには触れず、「イカゲーム」が主に伝えたいであろうメッセージに着目して書いていきます。

Netflix「イカゲーム」あらすじ

本作のあらすじは以下です。

物語の主人公は、借金に追われるソン・ギフン。生活苦にあえぎ、娘との関係も悪化する中、彼はある日、不思議な男から謎のゲームへの参加を持ちかけられます。賞金456億ウォンのために参加を決意したギフンが目にしたのは、500人以上の参加者が命を懸けて挑む過酷なサバイバルゲームでした。ゲームは、子供の頃に遊んだ「だるまさんがころんだ」や「綱引き」といった遊びをモチーフにしていますが、負ければ死という冷酷なルールが課されています。次々と参加者が命を落とす中、ギフンはどのようにして生き残るのか…。

「イカゲーム」(英題:Squid Game)は、2021年9月17日にNetflixで配信開始された全9話の韓国ドラマです。

監督・脚本は、映画「トガニ」や「怪しい彼女」で知られるファン・ドンヒョク。主演を務めるのは、韓国を代表する俳優イ・ジョンジェで、共演にはパク・ヘスやチョン・ホヨン、ウィ・ハジュンなど多彩なキャストが揃っています。

この作品は、幼少期に親しんだシンプルな遊びを題材にした命がけのサバイバルゲームを描きつつ、格差社会や人間の欲望というテーマを鋭く追求しています。

韓国ドラマとして初のエミー賞を獲得する

「イカゲーム」は、配信開始直後からNetflixのトップランキングを独占し、韓国ドラマとして初めてエミー賞で複数部門を受賞しました。

批評家からは「社会的メッセージを持ちながらエンターテイメント性も抜群」と評価される一方で、暴力的な描写に対する賛否もありました。

エミー賞とは、アメリカ合衆国で放送される優れたテレビドラマ、番組、テレビ業界の功績に与えられる賞。

 

幼少期に親しんだ遊びが最も恐ろしいゲームになる

「イカゲーム」に登場するゲームは、子どもたちの遊びがベースになっています。

作中で登場する遊びは、以下の6つ。

1.だるまさんがころんだ:鬼が発声している時のみ動け、それ以外で動いたら射殺される。規定のエリア内に来たらクリア。
2.型抜き:カルメ焼き(ダルゴナ)に書かれている型を取り出すゲーム。4種類あり、型によって難易度が変わる。
3.綱引き:10人一組の団体戦。チームメンバーは参加者同士で決める。
4.ビー玉遊び:ビー玉を一人10個持ち、時間内に相手のビー玉全て奪うことが出来た人が勝ち。
5.飛び石:ガラスの橋を渡るゲーム。左右のどちらかは外れで、踏んだら落下してしまう。
6.イカゲーム:1970〜80年代に韓国で流行った子ども遊び。ルールはよく分かりません。

韓国ドラマなので、韓国の遊びが中心ではありますが、だるまさんがころんだや綱引きは、日本人の私たちにも馴染み深い遊びです。

子どもの遊びがデスゲーム化する点に不気味さを感じますが、それこそが「イカゲーム」の狙いなのかもしれません。

▼「イカゲーム シーズン1」予告編

無邪気さと残酷さの対比による緊張

純粋さや無邪気さの象徴でもある子どもの遊びをデスゲームにすることで、視聴者に強烈な違和感を与えます。

Ayumi
「だるまさんがころんだ」で動いたら射殺されるって、バイオレンス過ぎます!!!

例えば、「だるまさんがころんだ」や「綱引き」は誰もが幼少期に親しんだ遊びであり、ノスタルジックで平和的なイメージを持っている人も多いでしょう。

しかし、命がけのゲームとして再解釈することで、強烈なコントラストが生まれ、日常で楽しいものが極限状況下でいかに恐ろしく変容するかを描き出しています。

シンプルなルールによる普遍性の強調

子どもの遊びはルールがとてもシンプルです。それ故、文化や年齢を問わず、視聴者は即座にゲームの内容を理解できます。

例えば「だるまさんがころんだ」では、動いたらアウトという単純明快なルールが採用され、緊迫感が直感的に伝わりますね。

また、ルールがシンプルであることで、ゲームの内容を理解しやすく物語の背景やメッセージに集中できる構成となっています。

倫理観を失う参加者たち

参加者同士が友情を築きつつも最終的には互いを騙したり犠牲にしたりする選択を迫られるイカゲーム。

この対比は、人間が状況次第でどれほど倫理観を失い得るかを象徴的に描いています。

Ayumi
極限状態でその人の本性が現れると言われますが、そんな状況下で理性・倫理観を保てる人がどれだけいるのでしょうか?

幼少期に親しんだゲームを通じて私たちは、社会の中で「勝つこと」を追求するあまり、無邪気さや人間らしさを失っていないか、という問いを投げかけられているのかもしれません。

 

「イカゲーム」が示す社会的メッセージとは何か

少しテーマに踏み込みます。

Netflix作品「イカゲーム」は、格差社会や人間の欲望というテーマを鋭く追求しています。

その中で示される社会的メッセージとは、大まかに以下の3つだと解釈します。

社会的メッセージ
1.格差社会と人間的の価値
2.資本主義の過酷さ
3.人間の本質的な欲望と倫理観

それぞれ詳しく書いていきます。

1.格差社会と人間の価値

本作では、主人公ソン・ギフンを始め、参加者全員が莫大な借金や困難を抱えています。

彼らは、経済的に行き詰まり、極限状態で命を懸けたゲームに参加せざるを得ない状況に追い込まれています。

なぜデスゲームに参加せざるを得ないのか?それは「貧困の連鎖」という言葉を知ると理解が深まります。

そもそも貧困とは、経済的に困窮しているだけではなく、医療や選択などあらゆる選択肢や機会が奪われた状態。

貧困になると、自力ではその状態から抜け出すのはとても困難で、ますます悪い状態に陥ることも珍しくはありません。そしてその貧困が子どもや孫の世代にまで連鎖して悪循環を生みます。これが「貧困の連鎖」です。

2.資本主義の過酷さ

参加者たちが命を懸けて賞金を争う様子は、現代の競争社会の縮図と言えるでしょう。

勝者が全てを手に入れ、敗者が全てを失うという「勝者総取り」の構造は、資本主義の不平等を際立たせています。

また、ゲームを主催する富裕層のVIPたちが、参加者(貧困層)の死を娯楽として楽しむシーンは、資本主義の格差がいかに残酷になり得るかを風刺しています。(※Ep7「VIPたち」)

3.人間の本質的な欲望と倫理観

ゲームの中で参加者たちは、友情や協力を見せる一方で、究極の選択を迫られるときに裏切りや欺瞞(ぎまん)に走ります。

たとえば、Ep6で描かれる「ビー玉遊び」では、親しい仲間を裏切らざるを得ない状況が描かれ、人間が自己保身のために倫理観を捨てる瞬間がリアルに表現されています。

この描写は、人間の本質的な弱さや、極限状態で現れる欲望の怖さを強調しています。

 

運営トップのフロントマンが言う「平等」とは何か

資本主義の過酷さを表しながらも、唯一参加者にとって救いとも言える場面がありました。

それは、Ep5「平等な世の中」の中で、運営トップであるフロントマンのセリフです。

フロントマン
「最も大事なものを奪ったことは許せない。”平等だ…”。ゲームでは皆が平等なのだ。参加者全員が同じ条件のもとで競う。不平等と差別に苦しんできた人々に公平に競える最後のチャンスを与えるのだ。その原則をお前たちが破った。」

参加者のひとりが運営側からこっそりと次のゲームの内容を聞いていたんですね。それを知ったフロントマンが当事者に放ったセリフです。(※後に2人は射殺されました。)

運営のトップであるフロントマンは、参加者全員が同じルールのもと、同じゲームに挑戦する点を「平等」としています。そして何よりもこの「平等」を重んじ、ルールに反したものは部下であろうと殺してしまいます。

しかし、この「平等」の前提にはどうにも矛盾があるように思うのです。

その理由は以下3つです。

「平等」に対する矛盾
①暴力と死を伴う環境
②参加の動機の不純さ
③観客の存在

それぞれ書いていきます。

1.暴力と死を伴う環境

ゲームの敗北者は命を失うため、平等な機会を与えられたと言えど、代償があまりにも大きすぎます。

真の平等は、人間の尊厳や生命を守る中で実現されるべきであり、命の危険を伴う形で提供される機会は、倫理的に破綻しています。同じスタートラインに立つことだけが、平等とは言えません。

2.参加の動機の不純さ

参加者たちは、現実社会の過酷な状況によって追い詰められ、選択肢がほぼ無い中でゲームに参加しています。

貧困や借金という背景が、実質的に彼らを強制的に参加させたも同然であり、「自由意志による平等な参加」という建前が成立しません。

3.観客の存在

Ep7「VIPたち」では、命がけのゲームに挑む参加者を特等席で観戦するVIPの姿が描かれます。参加者は、観戦者がいることを知りません。

ゲームが富裕層のVIPたちの娯楽として消費されている時点で、主催者たちの目的は「平等の実現」ではなく、「格差を利用した娯楽の創出」にあると言えます。これにより、平等という名目が偽善的なものとなっています。

 

まとめ

子供の頃に何気なく行った競争や勝ち負けの感覚が、大人になると資本主義社会の過酷な競争に重なります。

ゲームで生き残るために他人を蹴落とす様子は、現代社会で富や地位を争う様子を投影しており「無邪気な競争」が「残酷な競争」に変わる過程を暗示しています。

「イカゲーム」が幼少期の遊びを題材にしたのは、その無邪気さと残酷さを対比させ、人間の本性や社会の競争原理を浮き彫りにするためだと考えられます。

さらに、普遍的な遊びを使うことで視聴者が共感しやすくなり、物語のメッセージがより深く浸透します。

この構造により、作品は単なるサバイバルドラマではなく、社会や人間についての鋭い洞察を提供するものとなっていることでしょう。

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2024年4月6日

上記のNetflix作品もおすすめです!

リアリティコンペティションサバイバルゲームで、強靭な肉体を持つ100人の参加者が名誉と賞金を懸けて闘う番組。

最終的に最強の1人を決めるという点において、イカゲームと類似しており、ゲーム中盤ではチーム戦もあります。

生身の人間で行うゲームなので暴力的な描写は無いし、ただの筋肉自慢番組に飽き飽きしている人にはハマると思います!

 

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