こんにちはAyumiです!
映画鑑賞が趣味で2022年は120作品を観ていましたAyumiです。
今年は観た作品の概要を整理するためにも簡単な記事に起こそうと決意いたしました。2023年5作品目は「フルートベール駅で」です。
目次
「フルートベール駅で」はどんな作品?
この映画のあらすじは以下です。
22歳のオスカー・グラントは大晦日が誕生日の母を祝った後、恋人や仲間と新年を祝いにサンフランシスコへ行く。その帰路、電車内で喧嘩を売られ仲間を巻き込み乱闘に。鉄道警察に釈明するオスカーだが警察は聞く耳を持たず・・・。
2009年元旦の夜にアメリカで実際に起きた、警察による射殺事件です。
彼が事件に巻き込まれる前の「人生最後の日」を描いています。
その場に居合わせた人が携帯で撮影した映像のようです。
「フルートベール駅で」おすすめポイント
おすすめ理由は以下です。
・オスカー・グラントという人間に焦点を当てている
・「差別」「暴力」という部分には言及しない
それぞれ書いていきます。
オスカー・グラントに焦点を当てる
何度も記述しますが、本作は主人公の「人生最後の日」を描いた作品です。
その部分が明らかになります。
彼がどういう人間だったのか、そしてどういう1日を過ごし最後を迎えるに至ったのか、を視聴者は知ることになります。
「差別」「暴力」という部分には言及しない
無抵抗の彼に対して、必要以上の警察の暴力と差別意識の内包が銃殺につながったと考えています。
まさに「差別」と「暴力」がメインテーマではありますが、映画ではこの点に言及していません。
視聴者自らが考える構成になっています。
多くの人がこう考えるでしょう。
「フルートベール駅で」印象に残ったシーン
印象に残ったシーンは3つです。
①冒頭の事件映像
②メッセージカードを買うオスカー
③自責の念に苦しむ母親
それぞれ書いていきます。
①冒頭の事件映像
事件当時の実際の映像です。(*流血はありません)
1分40秒程の映像ですが、かなり生々しいです。
結末を冒頭に持ってくることによって、「彼はなぜ死ななければならなかったのか」を考えさせる構成になっています。
あまりにもショッキングな映像なので、苦手な人は飛ばしてもいいと思います。
②メッセージカードを買うオスカー
以下、彼のプロフィールを簡単に記載します。
・22歳前科あり(売人)
・遅刻が理由で勤務先解雇
・解雇されたことを恋人に隠す
・幼い娘がいるが未婚
決して善人とは言えません。しかし、とてもハートフルな人間です。
事件が起きたあの日、実はオスカーの母・ワンダの誕生日でした。電話で母親にお祝いのメッセージを贈り、かつメッセージカードを購入する彼。
母親思いの青年が突然命を奪われる。その家族の悲しみと本人の無念がラストへと繋がります。
③自責の念に苦しむ母親
友人や恋人と新年を迎える為に出かける息子・オスカーに母・ワンダが言ったセリフです。
当初オスカーは車で仲間の元へ向かう予定でした。しかし、母の助言で地下鉄を利用することになったのです。
そのこともあって、母親・ワンダは自身の発言にひどく後悔をしました。
明らかに悪いのは警察です。しかし、自分の発言によって息子を死の運命に導いたとワンダは思ってしまします。
被害者でありながら自責の念に苦しむ姿は、あまりにも哀しい。本事件の悲惨さが一層伝わります。
「フルートベール駅で」こんな人におすすめ!
「アメリカで起きている黒人差別のリアルを知りたい」「脚色されたものではないもの」
そんな人向けです。
実際の事件が題材にされている、かつ被害者の青年に焦点を当てているため第三者の意図がありません。
人種差別は今もなお残っている
本作は、2009年に起きた事件がもとになっています。決して昔の話ではないのです。
日本に住んでいると、人種差別や銃社会というものについて実感がなく「黒人男性が白人警察官に射殺された」という文言をみて、殺人事件か凶悪事件の犯人が逮捕されたものと思ってしまいます。
1863年にリンカーン大統領が奴隷解放宣言(本宣言)をした後、さまざまな人達が人差別撲滅に向けて訴え続けました。そして、2009年には黒人のバラク・オバマが大統領になり、人種差別は遠い過去のものになったと思っていました。
しかし、今でも人種差別は残っており、白人警察官による射殺事件も後を絶ちません。
自由の国と謳っているにも関わらず、一向に差別がなくならないのがアメリカです。
まさに、アメリカ社会の闇といっても過言ではありません。
オスカーを射殺した警察のその後
結論からいうと、過失致死罪で懲役2年の判決を受けました。しかし、服役後11ヶ月で釈放されています。
殺人罪で一度は起訴されたものの「ティザー銃と勘違いして発砲した」と証言し上記の判決になりました。
総評
オスカー・グラントは、前科あり職なしの麻薬ディーラーです。典型的な黒人の道を進んでいる青年ですが、映画の中で描かれる彼はとても優しい青年です。
母親の誕生日にメッセージカードを買ったり、車に轢かれた犬を助けたり、妊娠している女性をエスコートしたり・・・。
だからこそ、この事件の結末にはとても胸が苦しめられました。
銃社会は日本では考えられません。どうしても他人事として捉えてしまいますが、このような事件が実際にあったという事実は理解したいものです。
歌手のビリー・アイリッシュが最も好きな映画としてあげています。ぜひ!